弊社が、研修の「設計=プロデュースを重視する」理由

クライアントの問題解決に最善の提案をしたい

創業当時、よく聞かれた質問がありました。

「なぜ、講師やコンサルタントをやらないのですか?」

講師登壇しない訳ではないのですが、大きく3つの理由があって、講師専業の方ほど積極的に、能動的に行っておりません。

1つ目は、「クライアントへの最適な提案することを優先したい」からです。

私の周りには、多くの優秀な講師・コンサルタントがいます。クライアントに最適な価値提供をできるのが、私ではなく他の講師コンサルタントであるならば、私を売ることを優先したくないからです。

2015年に出版した講師向けの著書でも書きました。クライアントは、講師コンサルタントを買っているのではありません。課題解決や合意形成を望んでいる、そこにお金を払ってくださっている。だからこそ、自分しか売れないより、最適な講師・コンサルタントを提案していきたいのです。それで喜んでもらいたい、それがひいては自分の喜びにもなるのです。

登壇よりプロデュース側の黒子の仕事が楽しい!

もう1つは、「プロデュースする楽しさ」があるからです。

単に講師を紹介して終わり、という仕事はあまり面白いと思いません。それでは単なる紹介屋に過ぎません。それよりも、この企業はどんな環境にあって、どんな事業戦略を持っていて、競合はどうか、扱っている商材は、と俯瞰して分析し、その上で、「最適な講師を」「最適なプログラム」を企画提案する。つまり、お客様の問題解決の企画設計=「プロデュース」をする事が楽しいのです。

例えば、1つの研修企画に3名ぐらいの違うテーマを扱っている講師を提案することがあります。例えば、お客様から「コミュニケーションの研修がしたい」とお話頂いたとします。そこで、当社は色々な角度から分析し、過去の経験と合わせて、3タイプのプログラム=講師をご提案することがあります。1案として「ドストライクのコミュニケーション講師」を、2案として「チームビルディングの講師」を、3案として「リーダーコミュニケーションの講師」を、という具合です。クライアント様には、この3案、3人の講師をご提案した、提案背景と意図、研修の特徴と予想される効果をお伝えします。そこで、クライアントさんは、「うむ、なるほど」と考えるキッカケを持っていただいています。今、当社に必要な講師は誰か?に始まり、求められる学習内容、学習方法、そして相性や条件など。3人の講師提案をするからこそ、自社にとって、本質的に必要な研修は?講師は?と熟慮する機会となるのです。

こうしてクライアントに「考えるキッカケ」「納得感」を持って実施頂けると、それは一緒に研修を作りあえていこう!という雰囲気や流れが醸成されます。これが一番楽しいのです。弊社が、営業企画という職種を超えて、プロデューサーと名乗っているのはここに理由があります。

この業界での研修企画の質を上げたい

さて、話を戻して、講師を主体的にやらない理由の3つ目ですが、「業界としての研修の企画力を上げたい」というビジョンがあるからです。

当社のコラムをお読み頂いている皆様には、釈迦に説法かと思いますが、研修は本番当日より、事前や事後が大切です。さらに、研修の効果を最大限にするためには、研修前・研修後にかかっている、とも言えます。しかし残念ながら、この事前、事後をおろそかにしてしまう傾向がある。それは、私ども研修業界や研修講師にも責任があります。そして、残念ながら企業の人事、研修担当の方にも一部、やっとけばいい、ような意識や動きがあるのも事実だと思います。

しかし、それでは受講生のために、あるいはヒューマンリソースの向上という目的を果たせない企業にとって、良い状態なのでしょうか? 研修の企画、ここをしっかり練ること、仕事につなげていくこと、ここを放ったらかしにしない、手を抜かない、こういった機運や当たり前であるという土壌を創っていきたいのです。

ですので、教育=人材育成の分野でも、設計士、問題解決士、のような肩書、名称があっても良いのでは、そのぐらいに思っています。登壇する講師コンサルタントの参謀ともなり、かつ受講生にとっては黒子のような立ち位置で育成に携わる、そしてクライアント(事務局)には単純な講師紹介業ではなく、研修の導入から当日、実施後までの問題解決をお役立ちする立ち位置を築ける。そんな、教育設計プロデューサーを広め、日本の企業内教育のレベルを上げていきたいのです。

 人口減少その他事情により、企業における、人材育成の役割・期待はますます高まっています。そんな中で、人材育成プロデューサーという立場、役割が、より重要な存在となるべく、そんな世界を創造して参りたいのです。