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雇用の流動化が一部企業から始まった
コロナ第3波がニュースになっています。
そんな中、我々研修業界は、研修実施✕来期の企画日程調整✕新入社員研修の調整と、3つの大きな仕事が押し寄せる繁忙期に突入しています。
そこで、本日は最近気になった、人材育成に関わるニュースをいくつか取り上げてみたいと思いました。
○電通が社員230名を個人事業主化へ
~以下記事引用~
電通、社員230人を個人事業主に 新規事業創出ねらう
電通は一部の正社員を業務委託契約に切り替え、「個人事業主」として働いてもらう制度を始める。まずは2021年1月から全体の3%に相当する約230人を切り替える。電通では副業を禁止しているが、新制度の適用
もっと前には、タニタさんも同じ動きがありました。
~記事引用~
◯反発の声もあった「社員を個人事業主に」 それでも改革を進めたタニタ社長の”真意”
《社員食堂のレシピ本や「タニタ食堂」などの新企画を次々とヒットさせたユニークな健康計測機器メーカー・タニタ。同社は2017年から珍しい働き方の仕組みを導入。これにつ…
弁護士さんや就職活動をする学生さん、そしてネットのコメント欄ではこの取組に対する批判的な声も多く取り上げられていました。雇用の不安定さや、労働基準法などの観点からの批判的な声でした。ここで私は、この制度についての法律的な可否や労使関係について議論したいのではなく、このニュースの先に見える、フリーの研修講師に対する未来について取り上げてみたいと思います。
これらのニュースから読み取れることは?
今回のこの動き、流れは、主に以下のような背景があると思います。
・ワークライフバランスを目指した、労働時間の削減の行き詰まり
・やる気のある社員(もっと仕事をバリバリやりたい!)というニーズへの対応が難しいこと
・仕事を通じて、能力を上げたい、スキルを身に着けたいという社員が 流出してしまうリスク(ベンチャー企業やフリーランスなどに優秀な人ほど流れてしまう)
・企業側も、定年延長に動く一方で、多くの社員の(特に非生産的な社員の)固定的な雇用契約が難しくなったこと
つまり、もう長年、固定的な雇用契約を維持することが難しくなってきたこと。一方で、優秀な人のリテンションのため、自由な社風・体制を維持することで、優秀人材をつなぎとめておきたい、というねらいがあることも想像できました。
では、ミドルパフォーマーやローパフォーマーは、どうするのか???
やっぱり、今まで通り人材育成投資をしていくのか・・・
それとも、ローパフォーマーに対しては、もうコストをかけないのか・・
育成しないとなると、パフォーマンスが低い社員が継続的に会社に負担となる・・・
リスキリングや、大人の学び直し(リカレント教育)施策を行うものの、オトナの日本人はなかなか学び直しに動かない(これは様々なデータからは明瞭に見えている)
固定的な人材育成は減っていく!?
企業内の人材育成で想像できることは
・優秀人材は、そもそも主体的な学びや社外での活動を通じて学び成長する
・優秀人材をつなぎとめるための施策にコストをかけていく
・企業側は、全社員を対象とした人材育成によりROI(費用対効果)を追い求める
といったことが、想定されます。
そこで、私が感じたことは
「固定的な、階層別のような一律の研修のニーズは減るかもしない」
という点を想像しました。
というのも
・優秀人材向けは、各自が個人事業主的に、自主学習すれば良い
・ローパフォーマー向けは、コストをかけない可能性がある
・階層別、昇進時などのグルーピングが意味をなさなくなる
という方向性が、一つの未来予測としてできなくないからです。
ジョブ型雇用やDX、キャリア自律など、企業の人材育成制度は、益々これから変わっていく時代だと思います。私どもも、様々な先進事例を研究しながら、お客様とともに、より未来志向の人材育成制度を作っていければ、と思っております。